わかげのいたり。

中2の
冬のある日、

下校するころ
みぞれが降ってきたんですけど

川に手こぎボートが止めてあるのを
仲間がみつけて

おおー。
乗ろーぜ、乗ろーぜ

って変なノリになって

3人で
堤防のハシゴを降りていったんです。


傘もないし
寒いんだから
早く帰ればいいんですけどね。


ほら。
猫とか犬って

1年で6歳とか7歳とか
年を取るっていうでしょ。

逆に言えば
中2の14歳なんて

犬猫の
2歳ですからね。

そりゃ
楽しそうなことをみつけちゃうと

思考回路が
ダメになるのはしかたないわけです。


で、
3人でボートに乗って
左右に揺さぶってたら

おんなじタイミングで
おんなじ方向に体重をかけちゃったから

ボートが90度になっちゃって

3人とも
真冬の川に投げ飛ばされちゃったんですよ。


友人2人はすぐ
ハシゴをあがってたんですけど

ボクは1番遠くまで飛んじゃって

なんとかハシゴまでたどりついたころに
波の流れが変わったらしく

ボートがこっちに近づいてきて

ハシゴとボートのあいだに
ぎゅうぎゅう
背中をはさまれたまま

ぜんぜん身動き取れなくなったんです。

おかげで

あー。
きっと
コロッケサンドのコロッケって
こんな気持ちなんだな~って

調理パンの気持ちがわかる
すばらしい
少年にはなったんですが

身動き取れないのは
相変わらずで


「ちょっと! 逆襲!
 ボートの逆襲だよ~!」

と半泣き。


そんな声を聞いた友人がもどってきて
ボートを足で押してくれて
なんとかたすかったんです。

結果、
3人とも制服ずぶ濡れ。

クツも歩くたびに
ジャボジャボいうし。

みぞれは変わらず
ボトボトふってるし。

とにかく早く帰ろうと
震えながら歩いてたら

うしろから
クラクションならされて

ふり返ったら
飲料会社の車が来てたんです。

で左右に分かれて
道をゆずったら

僕らの前を
徐行して過ぎていったんですが


そのタイミングで友人二人が

トラックに後部にあった
取っ手みたいのにしがみついたんです。


「え。なに?
 なにしてんの?」

って声かけたら

ちいさく手を振って

そのまま車といっしょに
走り去って行っちゃって。


ボク、ひとり取り残されて
ポツンとしちゃって。

びしょ濡れポツンです。


それいらいね、

無賃乗車しようとして
列車にしがみつく

アジア人の映像見るたびに
あの日のことを思い出すんですよね~。


でも
誰も風邪ひかなかったのは

きっと
若かったからでしょーねー。

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