ジョギング1。

十代のころ、 ジョギングにはまっていた ころがあったんですよ。 アルバイトが終わって、 ウチ帰って、 メシ食って、 ひと休みしてから走りに行くんで、 いつも 夜の十時は過ぎてました。 当時は髪が長かったんで、 それをひとつにまとめて 気合を入れてから、 スタスタと走り始めるんです。 人の往来が盛んなとこは走りたくないでしょ。 ぶつかれば おたがいケガするかもしれないし、 ぜぇぜぇいってるブサイクな フェイスは ちょっとはずかしいし。 そうなるとさ、 必然的にさびしげな道をえらんで行くよね。 まぁ、ストレス解消が目的なんで、 本格的なものじゃなくて マイペースに走るんですけどね。     とある夜のこと。 街はずれへ向かう コースを選んだんです。 その方向には清掃工場が建っていて、 当然、夜は稼働してません。 工場に近づけば近づくほど、 人通りもどんどん無くなっていくし、 街灯も少なくなって、 不安にはなるんですけど、 他人を気にせず走れるのは気分がいいんですよ。 工場の敷地は広いんで、 高いフェンス沿いに外周を走っても、 なかなか回り切れるものじゃないんです。 はぁはぁと 息をはずませ走っていると、 人影が見えたんですよ。 トラックの搬入口にある常夜灯の下に、 誰かが立っている。 身長から言えば、 小学校の低学年…

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