天獄ランデヴー  第9話  『棒切』

凌羽の不自然な行動は、容疑者を細部まで観察するのにたけている、刑事の目に看破されたようだ。 「なあ。そぉこぉにぃ~、なぁにぃかぁ~、あ~るぅのぉかぁ~って聞いてんだよぉ~?」 一音ずつ区切るように山端がいう。 凌羽はあせる表情を読みとられないように、うつむきかげんになった。 「どうしてだまる? やはり、オレにかくしていることがあるようだな、おん……?」 山端の声色がすこしずつ低くなり、ドスのきいたものになる。 首をこきこきと鳴らしながら、凌羽のほうへ近づく。 まだ。 まだだ。 もうすこし。 もうすこし――。 肉体が損壊されてから十日。 できれば病院でガンガン点滴を流しこんで、大量に輸血もして、一週間ほど体をいやしたかった。 そうすれば体調もある程度もとにもどるだろう。 しかしそれができなかったのは、殺害時に服もケータイも財布も山端に処分されてしまったからだった。 特殊事案課に連絡を入れることはおろか、コンビニで食糧を買うこともできなかった。 あの夜。 バラバラのチリヂリにされた凌羽は、なかよし公園の植えこみの奥に埋められていた。 死を感知したことで、凌羽に内在していた神威がすぐに自動発動し、損壊された肉体の復旧をはじめる。 ず。 ずず。 ずずず。 こま切れの肉片たちは地中を懸命に進む。 こんな状態にされた場合、…

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