天獄ランデヴー  第4話  『夜話』

勝山なかよし公園は不気味な静けさにつつまれていた。   ライトアップされた木々が妖しく、そして美しく、闇に浮かんでいる。 時刻はすでに深夜の十二時をまわっていた。 今朝、惨殺事件のあった現場にこのんでくる者などいるはずもない。 公園内の不吉な空気感に、ホームレスたちさえ立ち去ったようだ。 あるいは犯人がホームレスを狙った意図があるなら、自分も被害をこうむるかもしれないという恐れを感じたのだろう。 だが、そんな園内を、臆するようすもなく徘徊する男がいた。 男は、ホームレスが寝床にしていたであろう段ボールハウスを乱暴に開けると、不在なのをたしかめ、舌打ちをしてから別棟へむかう。 そんなことをくりかえしているうしろ姿に、 「おひとりですか……?」 と声をかける者がいた。 「……おん?」 暗闇の中をふりむくと、見知った男が立っていた。 桜洋守凌羽である。 「……おまえ、今朝の」 「はい。こんばんは山端さん」 にこやかな表情で頭をさげる。 「あれ……、国分さんはいっしょじゃないんですか? 刑事さんて基本、ふたりひと組で動くんですよね?」 そう問われたが、部外者にいちいち答えるのもめんどうくさい。 「ふん。で、なにか用か?」 なぜか凌羽が癇にさわる。 「あ。あの……、おかえしいただこうかと」 山端の心情を察して、ひ…

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