天獄ランデヴー  第5話  『凶刃』

「し、死界の女神、イザナミッ?」 山端は青ざめた表情で聞きかえす。 「ええ。瀕死の人の夢にあらわれるそうで、彼女に会うと、翌日にはどんな病状も全回復するといいます……。山端さんの例と合致しますよね……?」 「……ッ!」  言葉がだせない。 「でも、それだけじゃないんですよね、山端さん?」 「な、なに……?」 「だって、イザナミからもらったんでしょう? アレを……」 「……ア、アレだと……ッ?」 「〈マガタマ〉ですよ……!」 「マ、マガタマ……ッ?」 マガタマとは、魂の形を模したという翡翠(ひすい)製の装飾品である。 古来よりさまざまな呪術や儀式にもちいられてきたという。 自分でも忘れていた夢の内容を正確にいい当てられたことに山端はうろたえる。 凌羽の問いかけはつづいた。 「で、そのマガタマ、どうされました……? 当然、今、おもちですよね……?」 「お、おん? ……あ、あれは……、〈フツヌシ〉っていうもんじゃねえのか……?」 「え? フツヌシ……? ああ、そうですか。フツヌシね……」 なにに納得したのかわからない。 だが、凌羽は何度もうなずき、 「……ではやはり、山端さんだったんですね? 家畜殺しも、トビオさん殺しも……」 ぼそりとつぶやくようにいう。 山端の全身からは、シャワーでも浴びたかのよ…

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