結界病棟 第8話 『再会』
リンカの顔や体を見て確信した。
彼女はいまだに、ドラッグから抜けられていないのだ。
ミチルはなんだか気の毒になった。
高校一年生のときのたのしかった日々が脳裏をかすめるが、目の前でへらへらと笑っているリンカはおぼえているのだろうか。
悪い男と出会って、リンカは堕ちた。
住む世界が変わった。
その運命にリンカはあらがわなかったのか。
受けいれたのか。
ならば誰のせいだろう。
誰が悪いんだろう。
答えはでない。
でるはずもない。
だがあわれむのと同時に、なんだか怖くなった。
リンカはきっとまだ、あの悪い男とかかわっている。
そうじゃなかったとしても、同類の人種とつきあいがあるはずだ。
「ひさしぶりだねぇ。いま、こっちに住んでんのぉ? あたしも地元にいられなくなってさ、彼氏と東京にでてきたんだよぉ」
とろけるような口調でいった。
やっぱり。
やっぱりリンカは、あの男とまだ切れてないんだ。
「ねぇ、このあとヒマぁ? あの人、紹介するからあそぼうよぉ」
リンカが誘ってくる。
いやだ。
かかわりたくない。
断わらなきゃ。
「あ……、ご、ごめん、これから予定あるんだよ」
ウソじゃない。
ウソじゃないが、なぜかことばがスムーズにでてこない。
ひきつった笑顔になってしまう。
「ふぅん……」
リンカがうたが…